親指シフト配列において[親指キー]はどうあるべきかを考察します。とはいえ、結論はとっくに出ているんですが。
ここから導かれる結論は、どちらの論理配列も「初めに物理配列ありき」で定められたものだ、ということです。論理配列と物理配置を切り離して論じるのは無意味だと言うしかありません。
1995年の初稿でひねり出した結論は、今日もそのまま有効です。
親指キーは専用キーか、共有キーか。
[親指キー]は共用型の方が、親指の同指異鍵が避けられるために優れている。従前はこのような主張を繰り返してきましたが、前言を翻します。
- Nicola や Tron は専用[親指キー]で使おう。
- 飛鳥や小梅は共用[親指キー]で使おう。
そのように設計してあるのですから、想定通りに使うのが理に適っています。
共有なのは妥協の産物だと思ってたんだけど。
私は共有だと予期しない変換が発動するのが嫌でKB211を買ったけど
切替器が使えないから、>>327>>329で我慢してるという状態なのになぁ。
共用[親指キー]で Nicola を使っていた当時は、予期せぬ変換に悩まされた記憶は(少なくとも私には)ありませんが、頻発するシフトミスには随分と泣かされました。
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共用[親指キー]を前提とする小梅配列では、シフトミスが皆無になったとは言いませんが、ほとんど気にならない頻度に抑えることに成功しています。何故かと言えば、「そのように設計しているから」に他なりません。
- 無シフト率を高めた(Nicola比)。
- 拗音・促音には特に対策を施した(いわゆる倍速打鍵)。
- キー別の頻度分布を見直した。
- 評価打鍵を徹底して行った。
「昭和」と「平成」の間には、数字でもはっきりと見ることができるほど性能の差があります。
物理的に最適な親指キーとは。
JISキーボードとも呼ばれる106/109キーボードでも、[親指キー]をかさ上げした方が「親指シフト」の入力は快適になります。
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ただし、[親指キー]にパッド等を貼り付けてかさ上げした場合、打鍵に与える影響は次の2点に分けて考える必要があります。
- [親指キー]をかさ上げして、上下方向に高くした。
- [親指キー]の左右幅を制限して、支点となる「親指のホームポジション」を明確にした。
同じく親指シフトを名乗っていても、「支点」の設け方は配列によって見事にバラバラです。
- Nicola
- 支点は親指と小指。小指は句読点の入力以外は上下には動かない。
- 飛鳥
- 支点は親指と人差指。人差指を伸ばせない分、不器用な右手小指の打鍵範囲が広い。
- Tron/小梅
- 上記両パターンの中庸。
[親指キー]をかさ上げしない場合でも、[親指キー]に F J キーと同様の小さな突起(凸)を設けるだけでも、親指シフトがやりやすくなるのではないか。実際に試してはいませんが、このように想像しています。人差指を伸ばしてはいけない飛鳥をはじめとした「連続シフトの親指シフト」では効果がないかもしれませんが、親指の位置や角度が[親指キー]の上で変わることが許容される「逐次シフトの親指シフト」では、人差指を伸ばした後は親指を「親指のホームポジション」に戻す必要があるからです。パッドや突起があれば親指をホームポジションに戻しやすくなりますから、その分だけ快適さが増します。
下段と[親指キー]がツライチかどうかよりも、「親指のホームポジション」が物理的に明確であるかどうかの方が、親指シフトの快適な打鍵に対する影響が大きい。この考え方が正しければ、[親指キー]は左右に(ある程度)狭い方が打ちやすいことになります。



シン蜂蜜小梅配列NE

http://www.ykanda.jp/catalog/1001/1001-05.jpg
ここに写っている親指シフトキーの形状が「指で触れられる部分を少し狭くしている」のは、
・デザイン的になんとなく作られた。
・動作制限のために狙って作られた。
のうち、後者だとみなすほうが「理屈としてあっている」と考えることができそうでしょうか。
今回記事を拝見するより前には、わたしはこれを前者なのだと思い込んでいた……のですが、今になってみると、後者であると考えるほうが自然なのかも、と思ってしまうもので。
「初期の親指シフトキーボードに関して、設計者が物理面について記した文献」というのを見た記憶がない(=物理配列を設計した担当者が別にいる?)もので、このあたりについてはまだまだ考察すべきことがたくさんありそうです。
とくに、TRONかな配列とは違って、製品時点から「ふつうのタイプライタ様鍵盤」をつかっているNICOLAかな配列については、「昭和」と「平成」の間に横たわる大きなリソース差を「論理配列が決まってしまったあとから、物理配列設計者が泣きながら(?)差を埋めていった」のかもしれず、論理配列よりもむしろ物理配列の側に「さまざまな利用者を惹きつけた秘密」が眠っているのかも……と考え始めていたりします。
親指ホームポジションに突起を付けるという話は、「親指を含めたホームポジションの固定」のために役立ちそうですね。
私は好んで「小さな無変換・変換キー」を親指シフトキーに割り当ててつかう癖があるようなのですが、いわゆる「B下割れキーボード」を使ったときに「座りの悪さ」のようなものを感じてしまう理由が、今回の記事を拝見して「自分の中でようやく納得できた」気がしています。
そう言えば OASYS は、キーの縦の断面を凸型・L型にして、キートップを二段構えにしたキーボードを多く採用していましたね。下のキートップに英字を印字するための苦肉の策でしたが、不思議と打ちづらさは感じませんでした。
かつての私のように、Nicola を好んで 109キーボードで使っていた人は、少数派と言っていいでしょう。専用キーボードは高くて不便なだけだという主張は、もしかしたら「俺様配列作成の道」へと繋がっていたのかもしれません(苦笑)。
飛鳥やかえであすかでも「親指のホームポジション」が明確な方が打ちやすいのでしょうか?
・親指のホームポジションに戻しやすい。
と言う私と、
・親指のホームポジションの固定
と言うかえでさんとで、主張が似ているようで全く違っているところに、親指シフトの奥の深さを覚えます。