日本語の入力方法として、性能と負担のバランスをどのように配分するかの違いで、さまざまな物理配列・論理配列が開発・発表されています。
- 右手の負担
- 左手の負担
- 手首の負担
- 親指の負担
- 人差指の負担
- 中指の負担
- 薬指の負担
- 小指の負担
- 脳の負担
このことを踏まえて、一から配列選びを行って小梅配列にたどり着くまでを、8つのステップで説明していきます。
1.キーボードでの入力方法に不満がある。
「qwertyローマ字」や「JISかな」では満足できない。
「はい」
- 「qwertyローマ字」ユーザなら、「JISカナ」を試してみましょう。
- 「JISカナ」ユーザなら、「qwertyローマ字」を試してみましょう。
- どちらもしっくりこないなら、他にもいろいろな選択肢があります。
- 「乗り換え」ではなく「使い分け」を。今使っている入力方式はそのままで、別な入力方式を新たに覚えることは、けして難しいことではありません。
- → 2 へ
「いいえ」または「こだわらない」
- おめでとうございます。そのまま使い続けてください。
2.専用キーボードが必要な配列でもかまわない。
ワープロ専用機の時代からパソコン黎明期にかけて商用として登場した日本語配列は、専用キーボードの使用を前提として設計されたもの=物理配列と論理配列を切り離せない入力方式=がほとんどです。
「はい」
- Nicola(いわゆる親指シフト)をお勧めします。数種類の専用キーボードが販売されています。
- Tron(これも親指シフトの1方式)という選択肢もあります。1機種だけ専用キーボードが販売されています。
- M式など他にも専用キーボードが必要な商用配列がいくつかありますが、現在では入手困難かもしれません。
- いずれの場合も数万円単位の出費が必要です。
- 論理配列の性能は昭和の水準にとどまります。
「いいえ」
- 現在使用中のキーボードがそのまま使える入力方法が、いろいろあります。
- 入力方法によっては、より適したキーボードを使うことで、さらに性能が発揮できるケースもあります。
- → 3 へ
3.最近作られた入力方法にも興味がある。
コンピュータの進歩、すなわち複雑な計算を現実的な時間で解くことができるようになったことや、配列設計の理論化が進んだことなどによって、論理配列の性能は飛躍的に向上してきました。これによって私家製の日本語配列=俺様配列=が百花繚乱と呼べるほど盛んに作られる一方、商用配列は新陳代謝がなく廃れていくばかりなのが現状です。
「はい」
- メリットとデメリットは表裏一体です。例外はありません。
- OSのアップデートや配列設定ツールの改版・絶版などによって、継続使用が困難となってしまうリスクがあります。
- さらなる性能向上がもたらされることと引き換えに、論理配列の改版が執拗に続いてしまう場合もあります。
- 「俺ならこうする」と自分で配列を改定してしまえるメリット?デメリット?もあります。
- それでもかまわないと思えるなら、自分の使い方、考え方に合った日本語配列が、きっと見つかるでしょう。
- → 4 へ
「いいえ」
- Nicola(いわゆる親指シフト)なら、富士通株式会社または日本語入力コンソーシアムのサポートを、もしかしたら受けられるかもしれません。
- Tron(これも親指シフトの1方式)なら、パーソナルメディア株式会社または社団法人トロン協会のサポートを、もしかしたら受けられるかもしれません。
- IMEのローマ字カスタマイズで実装できる日本語配列なら、リスクを最小限に抑えられるかもしれません。
4.かな入力を使いたい。
かな入力は、打鍵と入力する文字とが1対1でシンプルにつながる、直感的に理解しやすい入力方式です。
「はい」
- 入力時のルールが単純なほど、脳の負担が抑えられます。
- 代償として、覚えなければいけないキーの数が行段系より増えます。
- 行段系と比較して、悪運指が増えるのは避けられません。
- かなに対してキーの絶対数が足りないため、シフト動作が必須となります。
- シフト動作を減らして最上段を含めた4段以上のキーに配置した配列もあれば、シフト動作を増やして3段に抑えた配列もあります。
- → 5 へ
「いいえ」
- 子音と母音に分解して入力する行段系の配列がいろいろあります。
- かな入力に比べて覚えるべきキーの数が少ないため、学習コストが抑えられます。
- 使用するキーがかな入力に比べて少ないため、交互打鍵率を上げたり、悪運指を減らしたりすることが可能です。
- 代償として、打鍵数が多くなるのは避けられません。
- 拗音拡張などで打鍵数増を抑制できる配列もあります。
- また、シフトの組み合わせで雑多な漢字を直接入力する漢直系の配列も、いろいろあります。
- 入力ルールが複雑になるほど、脳の負担が無視できなくなっていきます。
5.親指シフトで入力したい。
1文字を1打鍵で入力する。これぞ親指シフトの真骨頂です。
「はい」
- 1文字を1打鍵で直感的に入力できるため、他方式に比べて脳の負担が最小限に抑えられます。(★現状では私見)
- ただし、親指キーと文字キーを2つの指で同時に打鍵してシフト動作すること(=親指シフト)は、手首や各指にそれなりの負担を強います。
- 1文字が必ず1打鍵なため、打鍵のリズムがつかみやすい。
- 無シフト時とシフト時とで打鍵の負担が異なるため、打鍵のリズムを崩しやすい。
- 親指キーの位置や、打鍵の軽さなどの違いで、親指シフトがやりやすいキーボードと、やりにくいキーボードがあります。
- → 6 へ
「いいえ」
- 小指でシフト動作するJISかな、新JISかながあります。
- 中指または中指と薬指でシフト動作する「中指シフト」の配列も、いろいろあります。
- 新JIS を親指でシフトする sands で使う手もあります。
- 文字キーを複数同時に打鍵することで拗音拡張をも実装し、1発音を1打鍵で入力できる配列もあります>姫踊子草配列、下駄配列。
6.右利きだ。
文章を書く道具ですから、利き手への配慮があって当然です。
「はい」
- 飛鳥系各配列と小梅配列は、右利きの方に特化した日本語配列として作られています。
- さら配列も右利きの作者が評価打鍵を重ねています。
- → 7 へ
「いいえ」
- 飛鳥系には左利き用の「レフティー配列」がいろいろあります。ただし、評価打鍵が行われた形跡は??
- 人柱となる覚悟がある方は、評価打鍵をよろしくお願いします。万が一痛みを覚えたら無理しないでください。
- 左利きの方に勧める親指シフト配列として、現状では Nicola を掲げておきます。
7.[P]や小指伸は使いたくない。
親指シフトは、[無変換][スペース][変換]という「親指キー」の上に親指が常に束縛されるシフト方式です。親指を「親指キー」に乗せたままで[*][P][@]を打鍵するには、手首を持ち上げたり回転させたりして、「エイヤッ!」と打鍵する必要があります。
「はい」
- [*][P][@]をかなの入力には使わず、素早く動ける人差指を多用します。
- [*]をバックスペースに使えて便利な配列もあります。
- 人差指を多用する代償として、連続シフトは使えません(排他条件)。
- 逐次シフトが連続してしまい、バタバタとした打鍵となる場合があります。
- → 8 へ
「いいえ」または「こだわらない」
- 人差指の使用を制限することで、連続シフトの親指シフトが可能となります。
- その代償として、打鍵しづらい[P]や[@]にも、かなを配置する必要があります。
- 長文の打鍵でも定評のある飛鳥系の配列がいろいろあります。
8.覚えるコスト、忘れないコストはできるだけ低く。
連続シフトを使わないなら、清濁分置は必要条件でなくなります。
「はい」
- 清濁のかなを同じキーに配置した、小梅配列をお勧めします!
「いいえ」または「こだわらない」
- 清濁分置の「さら配列」があります。
最後に。
叩き台のレベルで投稿しています。上手く作り込めていないステップもあるかと思いますが、ご笑覧ください。なお、上記の文章は予告や事後報告なく改変するかもしれません。予めお断りしておきます。
こうして改めて俯瞰すると、行段系や中指シフトほどではないものの、親指シフトの配列も選択肢が広がっていることを実感できますね。配列作者の端くれが作ったものですから、枝の一番先っぽに自作配列を置くのは当然の行動です。どうかご了承を。
この試みが配列選びの一助となれば幸いです。



Website 61℃

人によっては「選ぶのが面倒」と感じるかもしれませんが、「よく選び、よく納得してから使いたい」という方にとっては、相当に役立ちそうですね。
こうして「ゲームブック様にけん盤配列を選べる」規模の多様な選択肢が(かな系をも含めて)提示される時代が来た……というところは、私がけん盤配列関係に首を突っ込み始めたころには全く想像もしていませんでした。
私が興味を持ち始めた当時、もしも既にこういった配列候補&ゲームブック様選択基準があれば、私はもっとラクに?求めていたものを探し出せたのかも……などと考えつつ、楽しく拝見させていただきました。
そういえば、(飛鳥系に限らず)レフティー配列系については、相変わらず情報が少ないままですね……レフティー配列系が十分に増えてくれないと、ライティー配列系の存在意義?を感じ取っていただく機会も増えないだけに、このあたりの層の薄さについてはきちんとフォローしてくださる方が現れることを期待したいところです。
・条件によって分岐していく
・テキストだらけ
というのは、リンクを張り巡らした html で表現するのがぴったりですね。そこまで頭が回らなくて反省しきりです。
このエントリーの元々の狙いは、小梅が飛鳥のアンチテーゼであるところを改めて強調したいという部分でしたが、前提を遡っていくうちに全体の俯瞰図のようなものになってしまいました。しかもくどい(苦笑)。
かえでさんも「かえであすか配列」についてお書きになってみたらお分かりになるかと思いますが、個々の日本語配列がそのようになった理由、つまり何を優先して何を捨てたかの取捨選択は千差万別です。甲配列はAが最優先でBにもそれなりに配慮したけどCは捨てた。一方の乙配列はBが最優先でCにもそれなりでAは捨てた、という順番の違いをどう表現するか。配列それぞれ「こだわりの順番」が違いますから、配列界全体を一本の樹にまとめて吸い上げるのは至難の業かもしれません。