2009年02月20日

小梅配列は右利き専用の日本語配列です。(補足)

本日は下駄配列作者 kouy さんのエントリー 利き手なんて関係ない? に言及します。seesaa 発のトラックバックは大方無視されるので、一方的にリンクだけ貼っておきます。まずは 小梅配列の解説ページ から、左右の打鍵頻度に関係するグラフ2つを転載します。

左右別の打鍵頻度グラフ

左右別の打鍵頻度グラフ

左右指別の打鍵頻度グラフ

左右指別の打鍵頻度グラフ

利き手ではない手が、先に泣き言を言い出すから。

昨日の記事でもそれとなく書いたんですが、結論をはっきりと述べます。

× 間違った計算式
左手の打鍵負担率(%)+右手の打鍵負担率(%)=100%
○ 正しい計算式
右手の打鍵負担率(%)=100%−左手の(人差指の負担率+中指の負担率+薬指の負担率+小指の負担率)

小梅配列の左右の打鍵負担が左手:右手=44:56になっているのは、左手の打鍵負担率は44%でMaxだと判断しているからです。「右手は利き手だから、いっぱい働いてもらおう」というのは結果であって原因ではありません。利き手ではない左手は人差指が11%、中指15%、薬指12%、小指6%の合計44%でいっぱいいっぱいだから、残りの56%は利き手の右手に頑張ってもらおう。これが真実です。

左手:右手=48:52の小梅配列 1.2x 版でも左手の痛みから逃げられなかったんですから、50:50に設定した小梅配列なんて、とてもじゃないけど痛くて打てません。

かつては Nicola ユーザだった私。

こんなょゎょゎな左手を抱えた私でも、Nicola を10年以上も使ってこれたのには、ちゃんと理由があります。

  • 打ち方が違う。
  • キーボードが違う。

Nicola 時代の私は、手首をアームレスト(パームレスト)から浮かせて、指の力ではなく手首や腕の力で、キーボードをバタバタと騒々しく打っていました。だから反発力の強いメンブレン式やメカニカル式のキーボードでも、左手小指の腹が痛くなるぐらいで、あとは特に問題なく親指シフトしていました。小梅配列の歴史が始まるのと前後して、指の力でキーを押し下げる静かなタイピングをするように変えたら、メンブレン式のキーボードは指の関節が痛くて痛くて痛くて、とてもじゃないけど使えないと判断するしかありませんでした。

利き手ではない手が、泣き言を言い出す臨界点。

違いを生み出す要素として、次の3点が考えられます。

  1. 論理配列の違い。
  2. 物理配列の違い。
  3. 加齢による違い。
論理配列の違い。

飛鳥配列と小梅配列の違いは、そのまま「連続シフトの親指シフト」と「逐次シフトの親指シフト」の違いでしょう。「連続シフトの親指シフト」が生み出した「弱い人差し指」は、6〜8%の打鍵負担率で限界となっています。人差指だけで小梅配列とは3〜5ポイントも差がついてしまう計算です。

また、指や手首に負担が掛かりがちな親指シフトは、中指シフトや行段系などに比べて、指別の打鍵負担に関してよりシビア(弱い箇所の閾値が低い)なのではないかと考えます。

物理配列の違い。

小梅配列を私は、ノートPCで一般的なパンタグラフ式のキーボードを用いて開発しています。現在はギアドライブ式のものに変えていますが、性能的にはパンタグラフ式と同一と考えてよろしいかと。

飛鳥配列の作者 Ray さんは、メーカー製デスクトップPCで一般的なメンブレン式のキーボードで開発していると公言しています。

Nicola ユーザの大多数は、タッチが軽くストロークが深い専用キーボードを使っています。

下駄配列の作者 kouy さんは、タッチがとても軽い Realforce ユーザであることを公言されています。

私が Realforce ユーザだったら、左手が痛くなる閾値が高くなるはずですから、左手の負担率をもう少し上げていたかもしれません。Realforce や Libertouch はいつか使ってみたいキーボードではありますが、「一般の JIS キーボードでも快適に打てる」を標榜する限りにおいて、小梅配列の開発が終わるまでは高級キーボードへの乗り換えは自重しておきます。

加齢による違い。

私はアラフォーど真ん中です。Ray さんの正確な年齢は存じ上げませんが、私より少なくとも一回りは上ではないかと。kouy さんの年齢は全く知りません。

加齢は弱いところから順番に、容赦なく自らを攻撃してきます。

ということで。

少し気になるのが、冒頭で「飛鳥とか小梅で〜」と書かれている部分。ここでは単に右手を多く使う配列の例として2つを挙げただけだと思いますが、左右使用率は、飛鳥と小梅では大きく異なります(参考:「1万字のかなを入力する場合の打鍵数」)。

配列について考えるときは、具体的な数字やその配列の他の部分との関連などを考え、個別に判断していただきたいと思います。「左手より右手の使用率が高い」という理由だけで「右手重視」という枠でひとくくりにするようなことをすると、実態を見誤ります。

飛鳥配列と小梅配列の左手の打鍵負担率は、程度の差こそありますが、今まで述べてきたように同じ理由でひとくくりにして説明できます。小梅配列と同様に、左右の打鍵負担が50:50の飛鳥配列なんて、作らないのではなく、作れないのです。因果を見誤ってはいけません。

また、飛鳥配列とかえであすか配列の差は、メンブレンとパンタグラフの差であったり、年齢の差であったりするのかもしれませんね。

「連続シフトの親指シフト」であるにも関わらず、[F]にあっと驚く「い」を置いて、左:右=48:52に設定した蜂鳥配列は、「最上のネタ配列」と呼んでいいと思います。作られたご本人もこのまま実用に耐えられるとは考えていないはずですが、[F]の「い」が本当に使い物になるのか、誰か試してくれないかな〜という思いは未だに抱いています(他力本願)。

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小梅配列は右利き専用の親指シフト配列です。
2009-02-19
posted by 141F at 02:56| Comment(5) | TrackBack(1) | oyayubi | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はい。実用に耐えれるとは思っていないというか、蜂鳥X-001は実験的に作ってみたっていう段階ですね。
(141Fさんによるグラフを見て、ほんとに偏ってるなあと再確認した気がします)
まずは私が試すというところなんでしょうけど、
あの後、左親指シフトキーに当たる位置にControl(Ctrl)を配置してしまったので、親指シフトをやることができなくなってしまったのでした。
蜂鳥を試してみると、飛鳥と小梅で大きく配置が違う理由がわかるかもしれませんね。

左手が痛くなるのが、利き手の影響だと仮定するなら、
左:右=48:52という点に関しては、両方均等に効く人向けというところになるのかなと思います。

私自身が、右利きのはずだったのに、ふと気づけば左もそこそこ効き、キーボードの扱いではあまり違いを感じない、といった感じなので、
右利き,左利きに二分されるというのに疑問を感じています。
そういった点から、よくある利き手論争自体、強い右利きの人と弱い右利きの人との間の齟齬という面が少なくないのではないかと推測しています。
Posted by sleepwlk (eisuu-kana) at 2009年02月20日 14:20
>飛鳥配列とかえであすか配列の差は、メンブレンとパンタグラフの差であったり、年齢の差であったりするのかもしれませんね。

 ……これはたぶん(いや、まちがいなく)、Yesでしょうね。
 「かえであすか」が成立するためには「Qwerty:V」に【に】を置くしかない……のですが、これこそ「キー支持方式がパンタグラフ方式」であって、なおかつ「ようやく30歳を迎えようとする」状況の私だからこそ、何とかなっている……というだけなのだと思います。

 Rayさんみたいに「普及価格帯のプラ軸支持方式&メンブレンキーボード」を相手に数百万打鍵/年とかいうレベルで格闘する気力は、さすがにないです……orz。
Posted by 相沢かえで at 2009年02月20日 20:48
コメントありがとうございます。

to sleepwlk さん。
「強い右利き」「弱い右利き」という分類は、「機械仕掛けの神」の類に思えて個人的にはしっくりきません。どこかに落としどころがあるはずなんですが、「彼我の差を生んでいるのは親指シフトか否かかも」と言おうとすると、Nicola の分厚い壁が立ちふさがったりして(汗)。

to かえでさん。
いくらなんでも、チープなメンブレンキーボードを調達してまで評価打鍵を行う必要はないと思いますよ。ただし、但し書きをきちんとしておくことが条件になります。
Posted by 141F at 2009年02月21日 01:32
 引用されている部分でわたしが言いたかったのは、理由はどうあれ、実際にできあがったものを比較して違いがあれば、使い心地も違う、ということです。
 小梅と飛鳥の左手使用率、上記の表を見ると小梅1.3.2が44.4%、飛鳥368が38.4%です。実際の数値がこれだけ違えば、左手負担の程度が同じだとは、わたしには思えません。「程度の差こそありますが」と書かれていますが、程度の差が重要だと思います。

 左右負担50:50の小梅や飛鳥が作れないことは十分承知していまし、わたしが書いた記事は小梅や飛鳥の左右負担を50:50にしろという趣旨ではありません。

 また、Realforceと左手と下駄配列の関連について。下駄配列の完成が2005/12/31、左手の方が打ちやすいという2つの記事を書いたのは2006/2/11、2006/3/9。Realforceを買ったのは2007/6/17です。また、自宅以外では普通のキーボードもよく使います。わたしがずっと昔からRealforceのみを使い続けていると誤解されそうなので、補足します。
Posted by kouy at 2009年02月22日 14:30
>右手の打鍵負担率(%)=100%−左手の(人差指の負担率+中指の負担率+薬指の負担率+小指の負担率)

 んー……この式を見ていて、ふと感じたことがあります。
 そういえば、私は「飛鳥21世紀-290版時代」よりも、1日あたりの記述量が減ったような気がしています。
 厳密に計算したことはないのですが、(n-gramを何度か取ってきた度に数えなおした記憶からすると)たぶん打鍵量は減っているな、と。

 ……で、ふと思ったのですが。
 【右手の打鍵負担数(打鍵/日)=全打鍵負担数(打鍵/日)−左手の(人差指の負担数+中指の負担数+薬指の負担数+小指の負担数)】という式も、関係していたりするのかも。
 いまの感覚としては、「打鍵数」に半分?+「打鍵率」に半分?依存して、非利き手側のキャパシティが決まってきたりするのかなぁ……と、そう漠然と感じています。
 飛鳥21c290時代よりも「打鍵量が減った」ので、左手使用率が増えた「かえであすか」でも大丈夫となった……と仮定すると、現在よりさらに打鍵量/日が少なくなれば、(「かえであすか」のような仕掛けでも)左右均衡に近い配列を狙える可能性があるのかもしれません。

 飛鳥の歴代左右比がどういう推移になっているのか……は追いかけていないのですが、開発時間が十数時間/日から数時間/日へと移り変わっていったところに比例して、左手の打鍵率が増えていった……とか、そういった相関性があるのだろうか、といった想像をしていたり。
 ……って、整理できていないコメントで失礼しました。

 #「左右均衡飛鳥」は記憶にない……のですが、右手負担率55%の飛鳥は(オーダーメード配列として)存在します。飛鳥2-61版( http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/aska_log/aska_02.html のレス61番)をご覧いただければ……と。
Posted by 相沢かえで at 2009年02月23日 00:11
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Excerpt: コメントと補足、ありがとうございます> kouy さん。論旨を発展させるため、別発言にします。
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