2011年01月16日

小梅配列の「ゃゅょ」が左手側にある理由。

完全に後付けになりますが、理由をそれらしくでっち上げてみます(笑)。かえでさんの記事、(memo)「非利き手で打ち始めて、利き手で打ち終わる」のが、体感上最も速い、のかも。 へのリプライです。

新JISかなの渡辺さんは、測定結果として「(速く動かせる)利き手→(早くは動かせない)非利き手」が、けっこう打鍵時間を要する……ってのを、データで出した*2。

こーゆー「利き手→非利き手」は、なるべく「急いで打つことがなく、そこを速くしても効果が出ない、たとえばモーラとかの途切れるところ」に割り当てるといい。

……ってことは、たとえば単字かな系だと「拗音とかは、(早くは動かせない)非利き手で始まり、(速く動かせる)利き手にわたって完結する」ように設計するといい……ってことになる。

小梅配列の「ゃゅょ」が左手側にあるのは、飛鳥配列が右手側に配置しているから、反転した配置で試してみようという天の邪鬼な動機が、理由のすべてです。

  1. 「ゃゅょ」を左手側に置いた。
  2. 「ゃゅょ」の前に来るイ段(きしちにひみりぎじび)を右手側に置いた(*)。
  3. 「ゃゅょ」の後ろに来る「ちきつくんいう」を右手側に置いた。

例外として半濁音「ぴ」のみ左手側に置いています。

さらに、「ゃゅょ」を左手側下段の無シフトに置くことで、

  1. 左手側下段の直前の入力は右手側になりやすい。
  2. 左手側下段の直後の入力は右手側になりやすい。
  3. よって左手側下段の入力の前後で跳躍や左手縦連が発生しにくい。

という嬉しい副作用が期待できます。因果をまとめて記すと、

飛鳥配列が「ゃゅょ」を右手側に置いていた。
小梅配列は「ゃゅょ」を反対の左手側に置いてみた。
イ段のカナを右手側に置いた。
「ちきつくんいう」を右手側に置いた。
「ゃゅょ」を左手下段無シフトに置いた。
拗音対策、左手の跳躍対策、左手縦連対策の一石三鳥でおいしい。

となります。

それでは、「ゃゅょ」を右手側に置くのと左手側に置くのとで、入力速度にどれほどの差があるのか。今さらながら、模式化して比較してみます。

比較するのは、小梅配列は 修正案その1 を、飛鳥配列系は 21C-374 を基準とし、異なる場合のみ「かえであすか」を別記します。拗音対策を特に行っていないと思われる配列を代表して、Nicola も同時に採り上げます。

入力時間を定義する。

神田さんのところから 「仮名漢字変換形日本文入力装置用けん盤配列」JIS C 6236 規格の一部を引用します。

3段形装置によるアンシフト側の文字の入力時間を、手の遷移別に短い順に示すと、

  • 左手 → 右手
  • 右手 → 右手
  • 右手 → 左手
  • 左手 → 左手

となり、左手を連続して使用した場合の入力時間は、左手→右手の順に使用した場合に比べて、10%程度増加する。

強調は引用者による。

上記4パターンの入力時間は、最遅/最速=110% 程度としか示されていないので、

左手 → 右手
100
右手 → 右手
103
右手 → 左手
106
左手 → 左手
110

と仮定します。さらに、

3段形装置のシフト側の文字の入力には、シフトキーと文字キーを連続して打鍵する必要がある。それにもかかわらず、入力時間がアンシフト側のたかだか 1.25 倍に過ぎないことは、(以下略)

強調は引用者による。

と示されているので、シフトのペナルティとして 1.25 倍を乗算して、

左手 → 右手
アンシフト 100
シフト 125
右手 → 右手
アンシフト 103
シフト 129
右手 → 左手
アンシフト 106
シフト 133
左手 → 左手
アンシフト 110
シフト 138

と、本稿では入力時間を上記のように定義します。なお、最初の文字の入力時間はシフトの有無にかかわらずゼロとします。シフトの中身(親指/小指、同手/他手等)については考慮しません。

また、便宜的に「入力時間」と表記していますが、この値が小さいほど

  • 速く入力できる。
  • 楽に入力できる。
  • 入力間違いが少ない。

ことを表します。

入力時間を比較する。

「し」と「じ」

最初は分かりやすく 1-gram で比較します。

小梅配列
右無
0
飛鳥配列
左無
0
Nicola
左無
0
小梅配列
右他
0
飛鳥配列
左無
0
Nicola
左他
0

当然ながら配列による差はありません。

「しょ」と「じょ」

2-gram の比較ではどうでしょうか。

小梅配列
しょ
右無+左無
0+106=106
飛鳥配列
しょ
左無+右無
0+100=100
Nicola
しょ
左無+右同
0+125=125
小梅配列
じょ
右他+左無
0+106=106
飛鳥配列
じょ
左無+右無
0+100=100
Nicola
じょ
左他+右同
0+125=125

飛鳥配列が最も速く、Nicola で「ょ」がシフト側に入っているペナルティがよく表現されています。

「しょう」と「しょく」

続いて 3-gram で比較します。

小梅配列
しょう
右無+左無+右無
0+106+100=206
飛鳥配列
しょう
左無+右無+左無
0+100+106=206
Nicola
しょう
左無+右同+左無
0+125+106=231
小梅配列
しょく
右無+左無+右同
0+106+125=231
飛鳥配列
しょく
左無+右無+右同
0+100+129=229
Nicola
しょく
左無+右同+右無
0+125+103=228

小梅配列と飛鳥配列は大差なく、入力しやすい 3-gram と入力しづらい 3-gram があることが分かります。Nicola は(偶然にも)「ちきつくんいう」がすべて無シフトに出ているのが効いて、良く言えば入力速度のばらつきが目立ちません。悪く言えば、すべて入力しづらいwww

引き続き、いろいろな熟語やフレーズで比較してみましょう。

でしょうが
小梅配列
でしょうが
左他+右無+左無+右無+左他
0+100+106+100+133=439
飛鳥配列
でしょうが
右他+左無+右無+左無+左同
0+106+100+106+138=450
かえであすか
でしょうが
右他+左無+右無+左無+右他
0+106+100+106+125=437
Nicola
でしょうが
左他+左無+右同+左無+左他
0+110+125+106+138=479

Nicola に厳しいフレーズかと思いきや、それほど差が付きませんでした。

しょうじょう
小梅配列
しょうじょう
右無+左無+右無+右他+左無+右無
0+106+100+125+106+100=537
飛鳥配列
しょうじょう
左無+右無+左無+左無+右無+左無
0+100+106+110+100+106=522
Nicola
しょうじょう
左無+右同+左無+左他+右同+左無
0+125+106+138+125+106=600

こちらの方が Nicola には厳しい。「しょうしょう」や「じょうしょう」だと小梅配列と飛鳥配列の値が逆転します。

しゅうしゅう

Nicola に最も厳しいパターン。

小梅配列
しゅうしゅう
右無+左無+右無+右無+左無+右無
0+106+100+103+106+100=515
飛鳥配列
しゅうしゅう
左無+右無+左無+左無+右無+左無
0+100+106+110+100+106=522
Nicola
しゅうしゅう
左無+左同+左無+左無+左同+左無
0+138+110+110+138+110=606
ちょくちょく

小梅配列に厳しそうなフレーズも掲げておきます。

小梅配列
ちょくちょく
右同+左無+右同+右同+左無+右同
0+106+125+129+106+125=591
飛鳥配列
ちょくちょく
左無+右無+右同+左無+右無+右同
0+100+129+106+100+129=564
Nicola
ちょくちょく
右無+右同+右無+右無+右同+右無
0+129+103+103+129+103=567
しゅつりょく

これはどの配列にも厳しい。

小梅配列
しゅつりょく
右無+左無+右同+右同+左無+右同
0+106+125+129+106+125=591
飛鳥配列
しゅつりょく
左無+右無+右同+左無+右無+右同
0+100+129+106+100+129=564
かえであすか
しゅつりょく
左無+右無+右同+左同+右無+右同
0+100+129+133+100+129=591
Nicola
しゅつりょく
左無+左同+右無+左同+右同+右無
0+138+100+133+125+103=599

入力時間の比較から分かること。

拗音対策を行っても打ちづらいフレーズを無くすことはできませんが、頻出するフレーズや特に速く入力したいフレーズを差別化できることが分かります。また、拗音対策をシフトの有無に限って見れば、

  • イ段のカナ「いきしちにひみりぎじぢびぴ」を無シフトに置く。
  • 飛鳥配列のように「ゃゅょ」を無シフトに置く。
  • Nicola のように「ちきつくんいう」を無シフトに置く。

の3つの方法が考えられますが、カナを配置するキーの数は無限ではないため、すべてを同時に採用することはできません。「ゃゅょ」の3つのカナを無シフトに優遇するだけである程度の効果が期待できる飛鳥配列の拗音対策を、小梅配列は遠慮なく採用しています。

肝心の「ゃゅょ」を左右どちらの手に置くかについては、この比較からは有意差を見出すことができません。

拗音と倍速打鍵と左手の連打。

入力時間を短くするために最も肝心なことは、左手側の連打を避けることです。このことに関しては飛鳥配列も小梅配列もよく対策できていることが、上記の比較からも分かります。

拗音を含む 3-gram をモーラ単位で見ると、例えば「しょう」は「しょ」+「う」の2モーラに分割することができます。ここで「しょ」の入力には倍速打鍵が働いて、飛鳥配列で言えば[S]→[,]と順に打鍵するのではなくて、[S]と[,]の2つの文字キーを同時に打鍵して、「しょ」が一気に入力されている感覚に限りなく近付きます。

これを先ほどの式に当てはめると、

小梅配列
しょう
右無+左無+右無
0+106+100=206
0+103=103
飛鳥配列
しょう
左無+右無+左無
0+100+106=206
0+110=110
Nicola
しょう
左無+右同+左無
0+125+106=231
0+110=110

となり、拗音を含む 3-gram は、小梅配列のように左手側に「ゃゅょ」を集めた方が、より速く入力することができます。詭弁といえば詭弁なんですが、かように主張することもできます。

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posted by 141F at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | oyayubi | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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