久しぶりの投稿は、打鍵ストレスを配列毎に数値化してみようという試みです。でっち上げと言われても仕方がないレベルでの評価ですが、ご笑覧ください。
キー単打の打鍵ストレス
あるキーを打鍵した時、どれだけのストレスが発生するか。幸花配列の ホームポジションからキーへの時間 に掲げられた数値を、そのまま流用します。
幸花配列「ホームポジションからキーへの時間」
指をホームポジションに置いている時、あるキーを打鍵するのに掛かる時間を示した数値です。
このように各キー単独での時間を求めると以下のようになった。
引用元のキー表記は Dvorak ベース。表組みは背景色の都合で画像化しています。
分かりづらいので qwerty 表記に置き換えます。最上段の数値も必要なので、
- 最上段の数値=同じ列の上段の数値×1.3
と3割増しという仮定で計算して、一覧表にまとめます。
キー単打の打鍵ストレス指数
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | - |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 228 | 239 | 190 | 208 | 213 | 250 | 198 | 137 | 164 | 181 | 196 |
| Q | W | E | R | T | Y | U | I | O | P | @ |
| 175 | 184 | 146 | 160 | 164 | 192 | 152 | 105 | 126 | 139 | 151 |
| A | S | D | F | G | H | J | K | L | ; | : |
| 112 | 115 | 107 | 91 | 141 | 138 | 90 | 91 | 96 | 97 | 165 |
| Z | X | C | V | B | N | M | , | . | / | _ |
| 178 | 193 | 199 | 158 | 176 | 146 | 135 | 170 | 169 | 157 | 187 |
これらの数値を「打鍵ストレス指数」と呼ぶこととします。
これらの数値は元々、指をホームポジションに置いている時、[J]キーを打鍵するのに90単位時間、同じように[Y]キーを打鍵するのに192単位時間が必要なことを表しています。これはすなわち、キー別の打ちやすさ・打ちにくさを表しているとも言え、[J]キーの打鍵で90単位ストレス、[Y]キーの打鍵で192単位ストレスが掛かると言い換えることができます。
打鍵ストレスの計算方法
幸花配列では 打鍵時間の計算方法 に記されたように n-gram を考慮した計算手法を採っていますが、同時打鍵は魔法の呪文ではない。(4) に記したように 3-gram の計算が現状では不可能なため、本稿は 1-gram ベースで計算しています(ただし、拗音も 1-gram 扱い)。同時打鍵を含む1ストロークごとに、ホームポジションに戻っている想定です。
ただし、指がホームポジションに戻る時間は考慮していません。
qwerty ローマ字の打鍵ストレス
qwerty ローマ字では同じ 1-gram でも、
- か
- qwerty:K+A
- dvorak:T+A
- T:91+A:112=203
- T:91+TA:108=199
- さ
- qwerty:S+A
- dvorak:O+A
- O:115+A:112=227
- O:115+OA:113=228
- き
- qwerty:K+I
- dvorak:T+C
- T:91+C:105=196
- T:91+TC:174=265
- む
- qwerty:M+U
- dvorak:M+G
- M:135+G:152=287
- M:135+MG:217=352
と、打鍵の中身を紐解けば速い交互打鍵やアルペジオもあれば、同指異鍵や同手跳躍を含んで遅くなるものまでいろいろな運指があります。トータルでは相殺されると考えて、上に掲げた打鍵ストレス指数の数値を単純加算します。
打鍵ストレスと同時打鍵
同時打鍵は単打(無シフト)に比べて遅いので、打鍵ストレスの数値に係数を乗じて表します。もちろん他手シフトと同手シフトは別々の係数を設定しますが、文字キー同時シフトと親指キー同時シフトは区別しません。あるキーの打鍵ストレス度を数式で表すと、
- S(key)
- 当該キーの打鍵ストレス指数
- Vu(key)
- 単打(無シフト)の打鍵数
- Vs(key)
- 同手シフトの打鍵数
- Ks
- 同手シフトのストレス係数
- Vc(key)
- 他手シフトの打鍵数
- Kc
- 他手シフトのストレス係数
- あるキーの打鍵ストレス度 = S(key) × ( Vu(key) + Vs(key) × Ks + Vc(key) × Kc )
となります。例えば、Nicola の[A]キーの場合は、
- Nicola [A]キーの打鍵ストレス度 = S(a) × ( Vu(a) + Vs(a) × Ks + Vc(a) × Kc )= 112 × ( 4,643 + 1,216 × Ks + 1 × Kc )
となります。ストレス係数 Ks と Kc にどのような数値を代入するかで、トータルの打鍵ストレスも変わってきます。
親指キーの打鍵ストレス指数
もう一つ(適当に)定義しなければならないのは、親指キーの打鍵ストレス指数です。幸花配列の上段〜ホーム段〜下段の全数値を平均した 146 を、とりあえずの数値とします。実際には左右の親指キーで数値が異なると思われますが、計算が煩雑になるので左右同一にしておきます。
親指キーの打鍵ストレスにも、同手シフトと他手シフトに分けて係数を乗じています。
配列毎の打鍵ストレス
10万字サンプルのカナと句読点「。、」と長音「ー」の合計101,156字を打鍵した時の、打鍵ストレスの合計を配列毎に求めます。この数値が少ないほど、「速く入力できる」「疲れにくい」ことを示す指標となります。
やまぶきの設定値から推測すると、同手シフトは他手シフトの1.3倍遅いとするのが妥当に思えます。他手シフトの係数を 1.10、1.20、1.30 とした場合の各配列の打鍵ストレスの合計は、以下のようになりました。
| ストレス係数 | qwerty ローマ字 |
Nicola 配列 | 小梅配列 | 蜂蜜小梅配列 | 新下駄配列 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 同手シフト | 他手シフト | |||||
| 1.43 | 1.10 | 23,466,325 (100%) |
23,339,692 (99%) |
21,216,265 (90%) |
18,484,361 (79%) |
16,268,106 (69%) |
| 1.56 | 1.20 | 24,771,084 (106%) |
22,387,518 (95%) |
19,426,408 (83%) |
16,927,807 (72%) |
|
| 1.69 | 1.30 | 26,202,476 (112%) |
23,558,772 (100%) |
20,368,455 (87%) |
17,587,509 (75%) |
|
Nicola 配列が普及しなかった理由は、こうした数値を眺めるに、論理配列の性能が諸々のコストに見合わなかったからとも言えそうです。
まとめ
同手シフトが少なく、人差指伸を積極的に使う Tron 配列は、はたしてどのような評価になるのでしょうか。同手シフトも人差指伸もどちらも嫌った《さら配列》の評価も気になりますが、残念ながら二つとも計算していません。n-gram で計算できないため、連続シフトを採用した飛鳥系も採り上げられませんでした。
n-gram ベースで正確に計算した2次評価は、私の腕ではおそらく無理だと思います。
くどいようですが、打鍵ストレスの数値が 蜂蜜小梅配列 > 新下駄配列 となっているのは、蜂蜜小梅配列は「覚えやすく忘れにくい」コストを、清濁拗同置という仕掛けとして支払っているからです。
末筆ながら、暑中お見舞い申し上げます。






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シン蜂蜜小梅配列NE
